とかくこの世はままならぬ、されど心は花鳥風月 

「歯」をもっと可愛がらなくては


今年は6月4日~6月10日が、『歯と口の健康週間』でした。これは厚生労働省や日本歯科医師会などが中心になって展開している健康啓発活動です。・・・あまり気にしたことが無かったのですが、勤め先でも同じ時期に「8020運動(80歳で20本の歯を残す)」というのを社内PRしていたもので、目に留まりました。今年の標語は「歯を見せて 笑える今を 未来にも」だそうです。・・・もう少し捻りを利かせて欲しいところですが、広くあまねく認知してもらうには単純な方が良いのでしょうか。活動の歴史は古く、昭和の初期から毎年、標語を立てて国民に向け広報してきたようであります。・・・でもそれにしては、「口腔ケア」に対する日本人の意識は、ちょっと低いのではないですか??

 戦時中に作られた古いハリウッド映画『カサブランカ』には、記憶に残るセリフがたくさんある。ハンフリー・ボガートが若いヒロインのイングリッド・バーグマンにかける言葉、“Here’s looking at you, kid.”を、「君の瞳に乾杯」と字幕に載せたのは、時代が移っても色あせぬ名翻訳であったと思いますが、他にもこんなセリフが・・・。ボガートが「10年前、君は何をしていたの?」と聞くのに対して、彼女は笑って答えます。「歯を治していたわ」。・・・“歯”?? 高校時代に初めてこれを観た時には、全く意味が解らなかった。字幕の間違いかしらとさえ思った。これが、「歯列矯正」のことだと気が付いたのは、何年も経ってからのこと。欧米では、歯列矯正は10代の内に済ませるのが当たり前の常識になっているそうで、つまり、「まだ子供だったわ」と答えているわけですね。認識不足で申し訳ございませんでした。

日本ではまだまだ、「歯並び」の重要性が、浸透していないと思う。かく言う筆者も、ほとんど気にもせずに過ごしてしまって、四十を超える頃になってようやく「自分でお金をかけてでもやっておくべきだったかな~?」と、遅きに失してかる~く後悔したのみである。

芸能人でもないし、まあいいか。いやいや、冒頭の標語じゃありませんが、「歯を見せて」笑おうと思ったら、やっぱり気にするべきでしょう。歯並びが美しいと、印象が全然違いますから。

歯列矯正は、アゴの骨が柔らかい子供の内に行うのが基本。大人になって固まってからでは、かなり痛い思いをするし、時間もかかると聞きます。でも、けっこう費用が高くて、躊躇してしまうのですよね。要するに、そこにお金を掛けるだけの価値を見出すかどうか、って話です。そのあたりが、日本と欧米の価値観の違いかもしれません。

でも問題は、「歯並び」だけではないのですよ。普段から口腔ケアに関心を持つことは、虫歯や歯周病などのトラブルを最小限に抑えることにもつながるのですから。歯周病は酷くなると、細菌が血管を通って全身に回り、万病の元になると言われています。誤嚥性肺炎の原因にもなっています。歯茎が溶けて歯を失えば食事も満足に摂れなくなります。これを防ぐには、掛かり付けの歯科医とタッグを組む必要があります。日々正しく歯磨きを行いながら、数か月に一度は自分で上手く磨けないところを医師にケアしてもらうという、コンビネーションが極めて重要。ところが日本では、その考え方が十分に広まっていないようで、どうにも酷い状態になってから初めて歯医者に駆け込んで来る患者さんが、相変わらず後を絶たないのだそうです。

歯医者さんは虫歯になったら駆け込むところ、ではなくて、お口の中に異常が無いかをチェックしてもらう為に、定期的に通うところ。子供の時から総合的に口腔ケアを行う習慣があれば、歯列矯正もその一環として当たり前になるでしょうし、歯周病も、早期発見できれば、正しいケアによって治るそうですよ。下手な標語を作るより、この点をもっとアピールするべきなのではと思いました。

ちなみに余談ですが、飲み物を回し飲みしたり、箸を共有したりすると、歯周病菌がうつるので、家族間であってもそれは避けた方が良いだろう、というお話です。 2024年6月18日・筆


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